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くそ長い(疑似)ワンショット撮影で有名なこの作品。まるで子供が「何秒間マバタキをガマンできるか」意地になって競っているような作品ですが、ここで行われているのはそんな遊びとはまるで比較にならない大がかりな実験。スタジオ撮影の極限を目指したような、ほとんど曲芸のような作品で、その執念にはただただ恐れ入るばかりです。しかし、そりゃ映画の裏側の事情でしょ、という気もして、映画を観る立場としては、制約の多い不自然な映画、という気もしてきて、要するにこれは映画作家の自己満足じゃないのかい、という気がしてくる。もっとも、「この作品に関する限り、それは言わない約束でしょ」と言われそうですけれど。確かにこの作品、徹底した長廻しにより、独特の時間の流れがここには表現されているし、その中で繰り広げられる人間模様のモザイクの中から犯罪の痕跡が徐々に浮かび上がり、やがて「探偵役」と「犯人役」の対決へと結びついていく、という脚本の巧みさも、見事。しかしその一方で、限られた舞台という制約が、やや人間関係の描き方を肉薄にしてしまったのも否定できないかな、と。作品の創作にあたって、制約はあくまで「可能性」を示すためのものであって欲しい訳で、制約がそのまま制約と感じられてはマズいですよね・・・? という点では本作、やや制約に引きずられた面のある作品に思われます。しかし、「どーだ、これで、一般の作品でアタリマエのように用いられている“切り返し”の意義がよーくわかっただろ」と言われれば、「すみません、まだ全然わかりません、勉強します」としか答えられませんけれど。映画は本当に難しい。
【鱗歌】さん [DVD(字幕)] 6点(2010-04-19 02:45:02)(良:1票)
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