ワーロック(1959) の 鱗歌 さんのクチコミ・感想

Menu
 > 作品
 > ワ行
 > ワーロック(1959)
 > 鱗歌さんのレビュー
ワーロック(1959) の 鱗歌 さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 ワーロック(1959)
製作国
上映時間121分
劇場公開日 1959-07-01
ジャンルドラマ,ウエスタン,小説の映画化
レビュー情報
この作品からは強い怒りが感じられます。何しろ登場人物たちを片っ端から対決させて、ほとんどみんな殺してしまうんじゃないか、と心配になっちゃうような展開、ですから。ゴロツキどもに悩まされているワーロックの町。人々は、ヘンリー・フォンダ演じる保安官を雇って、これに対抗しようとする。やってきた彼は、なかなかにアクの強い男。いつも堂々とし、どんな危機にも臆することなく立ち向かい、しかしその一方では周囲に溶け込もうとすることなく我が道を行く男。すなわち、ヒーロー。彼は言う、今は皆に必要とされている自分も、やがて疎ましがられるようになるだろう、と。実際、彼の予言通り、彼はやがて邪魔者扱いされるようになっていくのたけれど、このあたり、当初の、人々の彼に対する卑屈なまでの期待と、後半の掌を返したような冷たい態度との対比が、露骨なまでに強調されていて、「良心的大衆」のもつ無責任さを厳しく糾弾しています。さてさてしかし、忘れちゃいけないのが、本作の主人公、リチャード・ウィドマーク。実際、冒頭で最初にクレジットされているのも彼。しかし本作の彼は、持ち前のアクの強さはH・フォンダとその相棒A・クインに譲り(この二人の示す同性愛的な関係も、世俗を超えたヒーローが伴うファンタジーの変形をみることもできるかもしれない)、ここではあくまでフツーの人であり、何とも頼りないチンケな小男の役。不器用な男。しかし彼は、大衆的な良心ではなく、自分の良心に従って行動する。ヒーローたるH・フォンダの「行動」に比べりゃ、普通人たる彼のそれはずっとスケールの小さい「行動」かも知れないし、実際、彼は何もできなんですけれども、彼がチンケであればあるほど、彼が何もできなければできないほど、彼の、まず行動を起こそうとする「勇気」が印象づけられます。そして彼を目立たぬながら物語の中心に据えたことによって、本作は、単なる「ヒーローいじめ」の物語ではなく、「ヒーローが存在できなくなった時代において、ヒーローが、ヒーローらしく退場する」という独特の物語、重層的な物語になりえたのかな、と思います。
鱗歌さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2013-07-07 08:20:25)
鱗歌 さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2024-11-17導火線 FLASH POINT5レビュー6.42点
スプライス6レビュー5.08点
2024-11-16美女と野獣(1991)7レビュー7.06点
2024-11-10CURED キュアード8レビュー6.60点
2024-11-04バンブルビー8レビュー7.33点
2024-11-03楽聖ショパン6レビュー5.66点
2024-11-02ペンギン・ハイウェイ8レビュー6.55点
2024-11-02見知らぬ乗客10レビュー6.90点
2024-10-27ペイ・ザ・ゴースト ハロウィンの生贄6レビュー5.40点
2024-10-272266レビュー5.66点
ワーロック(1959)のレビュー一覧を見る


© 1997 JTNEWS