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冒頭、ああこれはバブルの時代だなあ、と。個人的には何の懐かしさも感じないけれど、とそんなことを言ってみるのも一種の強がりなのかも知れないけれど。ああ、みんな、シャツの裾をズボンに入れてますねえ。
主人公を演じる高良健吾を始めとして、登場人物たちが、はにかんだようなオドオドしたような挙動を繰り返し、これが昨今のお笑いコントの演技を思い起こさせてちょっと安直ではないの、と最初は心配になるけれど、やがてそれが気にならなくなってくる。長回しが多用される中で、このオドオドした感じが、独特のリズムみたいなものを生み出してるんですね。いや、リズムというよりは、演技の詳細が確定されない中に役者たちが放り込まれ、開放系の中に映画の世界が広がっていくような。 そんな中で、素っ頓狂な吉高由里子はまったくオドオドせず、ブレることなく、純朴な主人公を変人の道(?)に誘い込む。これぞまさに究極のバカップル・・・ってのがこれまた不思議な懐かしさめいたものを呼び覚まします。 時間軸をいじくる構成も、イヤミになっておらず、ラストでは静かな感動に繋がります。 でも、それでもなお、この「世之介」ってヤツ、何なんだよ、という気持ちがどこかにあって、映画ってのは「懐かしがられる人々」ではなく「忘れられた人々」を描いてナンボでしょ、という気もしてしまうんですけれども。 【鱗歌】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2019-09-28 01:51:41)
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