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《ネタバレ》 最初、駐車場の地面に「死ね」と大きな落書きがあって。よくお笑いの世界では「死ね」みたいな過激な言葉が飛び交う場面があって、しかしそういやビートたけしという人、“毒舌家”ではあっても、笑いをとるためにそういう事を言ったりはしない気がするなあ、と。何でかと言うと、「そりゃツッコミではなくボケの人だからでしょ」と言われりゃ多分その通りだとは思いますが。ただ、そのボケの中にはいつでも自虐性みたいなのがあって、何だかこの「死ね」の落書きも、ビートたけしが北野武に要求したツッコミであるような気もしたのですが、まあこれは映画とは関係のない部分における感想。・・・しかし実は映画の方も同じように、「カッコ悪くて不器用なビートたけし」に対し、その姿を徹底的に人目にさらすことを要求する北野武、という対立関係があって、その仮借なさにこそ、カッコ良さなり器用さが感じられる、という面があるようにも思えます。本作、一部に長いセリフもありますが(大杉蓮が喋りにくそうにしてる)、基本的にはセリフは抑えられています。そして、ショットの積み重ねがひとつのシチュエーションを紡ぎ、シチュエーションの積み重ねが、映画の物語を紡いでゆきます。その中には、過激な暴力シーンがあれば、また妙に静かで意表をつく銀行強盗シーンもあります。そしてその物語の流れの中には、物語の情緒を印象付ける美しい風景が挿入されたかと思えば、その流れにふとひっかかるもの(置き忘れられた三輪車であったり、凧揚げの少女であったり)が挿入されたりもします。しかし大きな流れは決して止められない。不発と思った打ち上げ花火が遅れて発射したように、運命の流れは変えられない。・・・ええと。このローマ字書きのタイトルは、何だかヤだなあと、その点は噛みついておきましょう。
【鱗歌】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2011-07-23 17:25:01)
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