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《ネタバレ》 この映画は三國連太郎に尽きます。同僚の死肉をモグモグと、何事もないかのように食べる時の顔の表情がインパクト大。やはりこの人、名優中の名優だが怪演もホントに良く似合う。しかも演技だけではなく口から発する方言も素晴らしく、独特の味を醸し出している。第二次世界大戦中、4人を乗せた輸送船が冬の北海道の羅臼沖で消息を断ち、船長だけが生き延び無事生還したという実話を基にした作品。原作は武田泰淳の同名小説で、監督は熊井啓。洞窟に避難するものの、辺り一面氷雪に覆われ身動きがとれない。しかも食べ物が何もない。一人また一人と餓死するわけだが、生き残った者がその死肉を食って生き延びる。何というこの世の不条理。船長(三國連太郎)が繰り返し口にする「なんともってねぇ」「がまんしているんです」…これらの台詞、様々な意味に受け取れ妙に説得力を持つ。実話もさることながら、やはり戦時下という狂気に満ちた時代だからこそオゾマシさが倍増するのであろう。本作は90年代の邦画を代表する、優れた群像劇のひとつと言ってよいと思います。
【光りやまねこ】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2005-08-30 23:22:23)
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