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奇怪な現象が起こる中、家族愛を絡めながらも、一人の牧師(メル・ギブソン)が信仰心を取り戻すまでを描いているのはわかる。ストーリーの展開としては、中盤あたりまで緊迫感溢れる演出でゾクゾクさせてはくれるが、ラストに近づくにつれ陳腐な展開になっていく。あげくの果てには、つまらんモノまで出してしまい凡作以下の幕引きで、ジ・エンド。オイオイ、これじゃ~B級以下の宇宙人侵略ものじゃ~ないか! ! …と、ほとんどの方がこんな感想をお持ちでしょう。ところが、エンディング間際で少年はこう言っている。「(僕は)誰かに助けられたんだね」と。このひと言に、ピ~ンとこなかったであろうか。実は私は、ここにきて“ハッ”と身震いさせられた。最後の最後になって“どんでん返し”に気付いたわけです。《以下ネタバレ》つまり地球人は奇怪な現象と疑心暗鬼にかられ、ハナから宇宙人を侵略者扱いにしてはいないだろうか? …ということです。宇宙人は円盤や姿を人前に現しても、地球人に危害を加えたり攻撃を開始したという事実はないはずだ。ラストで家族の前に現われた宇宙人は、本当に毒ガスを少年に吸引させようとしていたのであろうか? それは地球人側の一方的な思い込みで、瀕死状態の少年を蘇生させる薬だったかも知れない。息を吹き返した少年は「誰かに助けられたんだね」と言っている。この誰かとは、先程の宇宙人だとすると、作品に張りめぐらされた仕掛け(サイン)が一気に解けてしまう。何ともオーソドックスな宇宙人の姿。しかも水に弱いという設定。人体の70%は水で出来ている人間を捕食するという(人間側の思い込み)。あれだけの科学力と跳躍力を持ちながら、無抵抗のまま撲殺されてしまう…等々。これらのバカバカしさはすべて計算済みで、シャマラン監督は裏をかいたヒントを観客に与え続けているとも言えよう。つまり宇宙人は、余程さし迫った事情があり、危険を顧みず地球人に友好と支援を求めに来たとは考えられないであろうか…。こう考えると、この作品の不可解な部分がスルスルと説明できるではないか。シャマラン監督は「未知との遭遇」「E.T.」を世に出したスピルバーグを大変尊敬しているという。もう一度、じっくりと各シーンを思い出してほしい。当の米国はもちろんのこと、キリスト圏に対し皮肉とも警鐘とも受け取れる痛烈なメッセージが込められていることが、きっとわかるはずです。
【光りやまねこ】さん 8点(2003-09-14 20:55:08)(良:6票)
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