| 作品情報
レビュー情報
会話のあちらこちらに伏線を張り巡らしており、監督小林正樹の手腕振りがとくに冴える今作。それらが終盤の戦闘シーンで活きてきます。シャープなカメラワークにも注目です。あくまでも自己の良心に従う主人公・梶。しかし同時に、部下を持たされ優秀な兵隊でもある。憎むべき軍隊という組織の中で、二律相反する自分の置かれた立場に苦悩する様子を描いてゆく。それは軍隊そのものが人間性を否定した不合理の産物で、兵隊が人間であることを許さない。戦争とは人間の殺し合いに他ならず、軍隊がそうなるのは当然であろう。ところが、梶は戦争の狂気そのものに巻き込まれてしまう。《ネタバレ》ラスト、梶本人が言うように“鬼”が乗り移った瞬間を、迫真の演技をもって観る者に問いかける。そしてこの出来事が、梶にとって今後大きな影響を及ぼしていくことになります。
【光りやまねこ】さん 10点(2004-01-17 10:15:48)
光りやまねこ さんの 最近のクチコミ・感想
|