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アメリカ映画、サイレント期の傑作と称される今作は、日常誰もに起こり得る人生の禍福をスターではない二人を起用することにより、より無色へと近づけることを狙いとした映画です。見ている観客のすぐ隣りの人かも知れない手の届きそうなドラマを切り取っていくという手法を映画に取り入れたキング・ヴィダーとゴーサインを出したタルバーグにはやはり感嘆符をつけずにはおれませんね~。ビルの外観から窓へと流れ、フロアへと吸い込まれていくカメラは、多数の机が整然と並べられたオフィスを捉え、主人公が群衆のワンオブゼムに過ぎないことを印象づけます。それは赤ちゃんが生まれた時の多数のベッドを捉えたショットに受け継がれ、累々とした歴史が刻まれていることを語ります。2階建バスの2階からサンドイッチマンを見下ろしあざ笑うシーンを伏線とした浮き沈みを際やかに描きあげるセンス、ナイアガラの滝でロケーションされたラブシーンも楽しく、ラストの劇場で主人公のアップからカットが割られるごとに大勢の観客へと引いていくカメラは、彼らがたんなる群衆であると同時に、かけがえのない人生を生きる個人の集合体が群衆であることを語っているようで、それぞれに生きる意味と希望を高らかに謳いあげた本作はやはり傑作なのであります。
【彦馬】さん 10点(2005-01-16 08:58:06)(良:1票)
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