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《ネタバレ》 先日、若松孝二監督の「時効なし」を読みミュンヘンを見たくなったのですが、てっきりミュンヘン事件を描いたものだと思って見に行ったら違ってました。70年代っぽいフィルムのトーンの中で見せられるものは、陰謀に次ぐ陰謀で一体何が真実なのかがまるで見えない世界、何をもって正義と呼ぶべきかすら分からない混沌とした世界。復讐の連鎖の先には何もなく、憎しみしか生み出さない。そんな簡単な事は誰しも解っているが、神の存在が、民族として、国として、何より自らのロイヤリティやアイデンティティが業として彼らは闘わざるを得ない。岡本公三や重信房子がパレスチナの英雄であり、辛光洙が北朝鮮において英雄であるように、彼もまたイスラエルで英雄としてあり、どんな英雄であろうと殺らなければ殺られるという恐怖、家族の存在が彼を人間でに引き戻す、天涯孤独の殺人マシーンでなく人間であるところがスピルバーグのやさしさなのかな。ラストは時代からすると当然、あのビルがある存在している画な訳ですが、敢えて今のマンハッタンの画でも良かったのではないでしょうか。
【亜流派 十五郎】さん [映画館(字幕)] 7点(2006-02-06 20:42:43)
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