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敢えて断言。「12人の優しい日本人」は、「12人の怒れる男」よりも断然面白い!。。。ふぅ、言ってしまった。はっきり言って推理劇タッチの「怒れる男」は僕のようなアンチミステリー派にとって、あまりにも真実を一元化しすぎているし、社会派を標榜する割りには陪審員制度の問題点を真の意味で論うことなく、居丈高な民主主義の価値観や義務感によって自ら正義を負う者として規定し、皆が一つの真実を追うことに固執すること、そのことを美化しすぎているように思える。本当の真実とはこうなんだ! こうあるべきなんだ!ってね。また、登場人物たちにはそれぞれのナラティブがあり、それは当然一つに集約すべきものではないのだ。すべての思惑が一つの真実を指し示すなんてあまりにも予定調和すぎる。所詮、おめぇたちは一般市民じゃねぇのかよ。。。などと陪審員制度自体に馴染みがない僕なんかは「怒れる男」を観た時に素直にそう思ったものです。それに比べ、この「優しい日本人」は実に「いい」加減で、最期まで正義に固執しない姿勢がとても晴れやかだし、陪審員制度が日本人に合わないことを明確に主張しているように思える。なおかつ人間描写が多分にデフォルメされてはいるけどとにかく面白い。「怒れる男」のパロディ映画としても秀逸だと思うが、これは本編に対する一種のアンチテーゼでもある。所詮、人に人は裁けないと思うよ。僕は怒れる男であるより、優しい日本人でありたいと思うけどなぁ。「真実の行方」って映画があったけど、あの映画のラストシーンを「怒れる男」に対比してみると面白いかも。
【onomichi】さん 9点(2003-09-06 17:05:08)(良:5票)
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