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《ネタバレ》 『奇跡』とは、両親が離婚した為に、鹿児島と福岡に離れて暮らすことになった幼い兄弟が「奇跡」を信じて、ある行動を起こす物語。というと、最近流行りのハリウッド的な一大アドベンチャーのように聞こえるかもしれないけど、実際は全く違う(当たり前か)。これは奇跡を起こす物語ではなく、奇跡を信じること(=子供)と世界を取ること(=大人)を巡る物語なのである。
この映画では、大人たちがとても単純に見えてしまう。それは、登場する子供たちが大人以上にいろんな感情に揺れ動いて、様々な心の機微を働かせており、そんな子供たちの存在によって、大人たちが完全に相対化されているからだろう。 しかし、ここで描かれる子供たちは大人たちの分身である、とも思える。今、大人になった僕ら(登場人物の先生たちや親たちも含めて)がタイムスリップして、フィクションとしての子供を演じている。僕にはそのようにも思えた。だから奇跡は起こらない。最終的にすべては世界の平常の為、ゆるゆると丸く収まっていくのである。僕らは素直に子供たちに感情移入できる。大人っぽい子供たちは、奇跡を信じつつ、最後には目の前にある「世界」の方を取ってしまうから。ささやかなかなしさを感じつつ。 【onomichi】さん [映画館(邦画)] 9点(2011-07-08 21:20:39)(良:1票)
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