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この物語は、戦争で死んでいったであろう多くの少年少女達の名も無き史実を、美しくも残酷な童話に仮託した一種の鎮魂歌と見るべきでしょう。だから僕らは、この物語にもっと素直に感動していいと思う。戦争という現実は、語りえる以上に悲惨なものだし、僕らがそのすべてを知ることはできない。戦争とは、歴史であるとともに、歴史の喪失でもあるのですから。世に様々な戦争を描いた物語<戦場、戦後含めて>がありますが、本来そこには戦争に関わった人々の数だけのナラティブがあり、その多くは既に失われているということを僕らは知るべきなのでしょう。そういう意味で、この「火垂るの墓」という作品は、その美しさも残酷さも含めて、失われた物語の小さな灯火として見るのが正しい姿だと思うのです。戦争映画にも様々な視点があり、様々な表現がある。しかし、僕らはそれらの作品によって、現実の一端を想起することができるだけなのです。そのことを忘れてはならないと思う。
【onomichi】さん 8点(2003-12-29 20:00:17)(良:6票)
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