ストーカー(1979) の onomichi さんのクチコミ・感想

Menu
 > 作品
 > ス行
 > ストーカー(1979)
 > onomichiさんのレビュー
ストーカー(1979) の onomichi さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 ストーカー(1979)
製作国西独,ソ連
上映時間163分
ジャンルドラマ,SF,小説の映画化
レビュー情報
《ネタバレ》 誰もが等しく理解できる共有化された視覚イメージでは描かれていない。その冒険譚は、暗喩と象徴でのみ表現された大文字の作者の心象風景として具現化される。ゾーンの部屋。そこにあるのは世界の目的であり、黙示録であり、人類の救済である。それは究極の秘密として分散的に共有されることで人々の希望となる。それを導く者。ストーカーの存在意義である。

もちろん、今、私たちの世界でそのような秘密や希望がリアルに存在していると信じる者は少ない。この物語は原始宗教を模した寓話であり、神話である。しかし、それは大きな物語ではなく、私の中の可能性としての物語。ゾーンの部屋に辿り着いた作家はそれを「無意識の望みだ」と言った。自らの腐った本性と対峙し「絶望して死ぬなら、自分の家で飲んだくれる方がマシだ」と。なんと小さな物語。

奇跡は起こらない。象徴的表現は単なる象徴で終わる。ゾーンとストーカーの存在意義も失われ、徒労感だけが残る。ストーカーは「もう誰も連れていけない」と嘯く。信じること、その可能性の残渣が娘に引き継がれるところで物語は終わる。というか、引き継ぐものとしてこの小さな物語はある。

最後のストーカーの妻のモノローグが全てとも思える。「苦しみのない人生はむなしい。苦しみのない所に幸せもない。希望でさえも、、、」
onomichiさん [DVD(字幕)] 9点(2025-01-14 22:04:26)★《新規》★
onomichi さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2025-01-14別れる決心9レビュー8.75点
PLAN 758レビュー6.83点
アバター:ウェイ・オブ・ウォーター9レビュー6.74点
博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか9レビュー7.69点
陪審員2番9レビュー9.00点
ストーカー(1979)9レビュー7.48点
2024-10-22サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)8レビュー8.00点
2024-10-05影の車9レビュー7.08点
2024-10-05ノーカントリー9レビュー6.41点
2024-09-16ソウルの春10レビュー8.50点
ストーカー(1979)のレビュー一覧を見る


© 1997 JTNEWS