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結構ぐっときました。他の人のレビューを読むと案外に評判がよくないみたいだけど、僕は3時間という長さが全く苦にならないほど、また観たいなぁと思えるほどこの映画に、そしてこの映画の作者に共感しましたよ。この映画のようなミニマリズム的な展開を単純に退屈と感じてしまうような感覚の人はたぶんだめなんでしょうね。この映画を観るコツは、それぞれの登場人物が抱えるナラティブに自らのリアリティを重ねて、それを味わうことができるどうか、だと思う。<それは群像劇だからこそ、浅い繋がりだからこそ連作を読むような多様性が浮かび上がる面白さがある> 僕にはこの映画がそれに耐えうるだけの作者の誠実さを水脈としてもっていると深く感じることができました。<もちろんそれは観る人の資質によるけどね> それだけでもぐっときます。でも、この映画が本当にすごいのは、それぞれのナラティブが迎える自己のカタストロフに対して、最後にかえるくんを登場させていることです。アルトマンの「ショートカッツ」にも似たような展開があったけど、今回のかえるくんはそれにも増して寓話的な意味あいがあるように思えます。なんてったってかえるくんなのですから。このかえるくんの登場は突発的で、非現実的であるが故に違和感を持つ人が大半かもしれないけど、ある意味で象徴としての意味論的な意味をもつと僕には感じられるのです。それは個人のカタストロフを超えた圧倒的な理不尽さという意味でもあり、個人のネガティブな「あり得る」を超えた広くポジティブな「あり得る」という意味でもある。それは異常なものが一周ひっくり返って救済への光となるようなそんな感触かもしれない。(村上春樹の「かえるくん、東京を救う」のようだ。かえるくんは暴力と救済のパラドックスの象徴でした。)まぁとにかく、この映画はもっと評価されていいと思う。ある意味では、僕は「映画通」ではないが故にこの映画を認めることができるのかもしれないけどね。僕は映画的カタルシスやクライマックスをあまり求めていないから。
【onomichi】さん 10点(2002-04-18 00:54:36)
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