ウッドストック 愛と平和と音楽の3日間 の onomichi さんのクチコミ・感想

Menu
 > 作品
 > ウ行
 > ウッドストック 愛と平和と音楽の3日間
 > onomichiさんのレビュー
ウッドストック 愛と平和と音楽の3日間 の onomichi さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 ウッドストック 愛と平和と音楽の3日間
製作国
上映時間185分
劇場公開日 1970-07-04
ジャンルドキュメンタリー,音楽もの
レビュー情報
全体的に構成も演奏もダラーっとしていて、通して観るのは確かにちょっと辛い。それでも、僕としては、ジャニスとザ・フーとサンタナの登場がまだ救いだった。ジミヘンの演奏はいまいち盛り上がりに欠けていたような気がする。ジャニスのライブは、ナイターの雰囲気と相まって、とても儚く、そして迫力があった。僕が持っているDVDにはジャニスが1曲しか収録されていないので、かなり寂しい。フーは、ピートのノリノリぶりやキースの蛸足ドラムがなかなかの見応え。サンタナもそれなりにいいし、テンイヤーズアフターもわりとカッコよかった。でも思い出してみるに、他に観るべき演奏がそんなにあったかな?大体、演奏を映そうという意図もあまり感じられないのだ。まぁそれはそれとして、この「ウッドストック」というイベントは、60年代後半のロックムーブメント最後の灯火として捉えられるのが一般的だ。確かに40万人を集めた野外イベントとしては歴史に残るものであるが、そこにはもう既に時代の終わりの雰囲気が漂っているように思える。ある種の喪失に対する微温な連帯という感情が確かに見られるのだ。実際、このウッドストックという大イベントが大したハプニングもなく金銭的にも成功したと捉えられたことにより、ロックは産業社会に取り込まれ、商業化の道を辿ることになる。実際には3日間で3人の死者が出て、5000人が病気になり、2人が出産したという事件もあったが、それは些細な日常の出来事としてイベントの影に隠れてしまったのである。あれから35年たった今、時代は幾多の断崖を通して、閉塞しつつあるように思える。「喪失に対する微温な連帯」とでも言うべき感情すら、今の時代感覚の中では喪失しようとしている。実はまだアメリカはこれまで保守的だった人間が力を持ったというだけで、戦争に対する反対の声は日本に比して圧倒的に大きい。当事者であるが故の足掻きがそこには確固として存在しているのだ。それに対して日本はどうか。実は喪失感に対する喪失の無意識的な蔓延の罠に最も捕えられているのは僕たち日本人である。だから、今、僕たちは進むべき道を見出すきっかけすら掴めてないのだ。もちろん平然と反アメリカを唱えられるほどの足場もない。話は横道に逸れたけど、まぁとにかく、「ウッドストック」はロックムーブの最後の灯火であるとともに、新しい喪失の始まりだったということなのだ。
onomichiさん 6点(2004-04-10 11:00:17)
onomichi さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2024-03-05落下の解剖学8レビュー6.75点
2019-03-30寝ても覚めても10レビュー6.53点
2013-12-26ゼロ・グラビティ10レビュー7.63点
2013-01-29アルゴ10レビュー7.14点
2013-01-29鍵泥棒のメソッド10レビュー7.36点
2012-11-03ロック・オブ・エイジズ10レビュー6.60点
2012-08-27桐島、部活やめるってよ10レビュー7.18点
2012-07-23ブラス!8レビュー7.24点
2012-07-23ニール・ヤング/ハート・オブ・ゴールド ~孤独の旅路~9レビュー8.00点
2012-07-16おとなのけんか8レビュー6.73点
ウッドストック 愛と平和と音楽の3日間のレビュー一覧を見る


© 1997 JTNEWS