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1つ1つの愛の物語は、それぞれ冥途の飛脚、春琴抄、アデルの恋の物語、などを下敷きにしていると思われる。語り継がれ、使い古された愛の話(赤い紐で二人が繋がれているのも含めて)であるが、だからといってこの映画がダメだということには決してならない、そこがすごいと思う。画面は淡々と流れ、退屈といえば退屈であるが、そのとき、見る人それぞれが何を思い出すか。人によってその深さ、広がりは違う、思い出すことの多い人はこの映画の時間の流れ方をきっと心地良い、素晴らしいと思うであろう。そしてその画面はあくまで静かで、これでもかというほど美しい。梅川忠兵衛の道行きは雪であるから、最後は当然雪であると予想はついた。しかし、あのラストは確かに心中はご法度、晒し者、という定石を踏んでいるとしても、抵抗が残る。また、主演男優の描き方(親に言われ社長の娘と結婚するような男性が、あのような行動をとる人物か?)に説得力を欠くのが惜しまれる。菅野美穂は大変良く、松原智恵子もはまり役である。
【大木眠魚】さん 8点(2003-12-09 23:45:04)(良:2票)
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