キャッツ の 鉄腕麗人 さんのクチコミ・感想

Menu
 > 作品
 > キ行
 > キャッツ
 > 鉄腕麗人さんのレビュー
キャッツ の 鉄腕麗人 さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 キャッツ
製作国,
上映時間120分
劇場公開日 2020-01-24
ジャンルドラマ,コメディ,ファンタジー,ミュージカル,動物もの,戯曲(舞台劇)の映画化
レビュー情報
本格的な舞台ミュージカルを観劇した経験が無いので、勿論「キャッツ」というミュージカルを観たことはない。
無論、タイトルくらいは聞き馴染みがあるけれど、どのような物語なのかすら無知な状態で、映画鑑賞に至った。

映画作品として食指が動いた理由は、ミュージカル映画そのものは好きであるということ、「レ・ミゼラブル」のトム・フーパーが監督であるということ、そして何よりも“猫”の造形に言葉にならない“異様さ”を感じたからだ。

「キャッツ」が猫の世界を描いていること自体は物語を知らなくても何となく想像できていたけれど、予告編で流れた映像から、キャラクター造形が常軌を逸していることは明らかであり、そのビジュアルはある意味衝撃的だった。
絶妙なセクシーさと、絶妙な気味悪さ、総じて言える「奇妙」さは、何かフツーじゃない映画を観させてくれるのではないかという期待感を生んだ。

結果的に言うと、その期待感は決して外れてはいなかった。

全身CG処理された“猫人間”が繰り広げるパフォーマンスは、予告編を観た時と同様に衝撃的だったと言える。
世間一般では、そのCG合成による“気味悪い”レベルの艶めかしさに対してストレートに嫌悪感を抱く人も多いようだが、個人的にはその行き過ぎた感じがキライじゃなかった。
アレが「猫」かどうかは置いておいて、人間界以外の世界を描く物語として、生々しい“別モノ”の生物感を表現しようとした試みは、方向性的に正しかったと思える。

ただし、明確な難点の一つとして、映像世界全体をCGに頼り過ぎてしまっている印象は覚える。
CGとリアルな撮影素材の境界が混濁してしまっていることにより、演者たちのパフォーマンス自体もどこまでが生身の動きなのかの判別が付きづらくなっている。
つまり、リアルなダンサーたちのライブ感がエモーショナルに伝わってこないのだ。
それはミュージカル映画が孕むべき「熱量」の欠落に直結することであり、決して小さくないマイナス要素だったと思う。

そして、個人的に何よりも衝撃的だったのは、「物語」がほぼ「物語」としての形を成してなく、「狂騒劇」とでも言うべき、理性が消失した“騒ぎ”の中で終止するということだ。
主人公の若猫がとある猫コミュニティに迷い込み、年に一度の“舞踏会”の狂騒に巻き込まれたかと思えば、入れ代わり立ち代わり“お披露目”される「演目」が延々と繰り広げられる。
そこには分かりやすい成長譚もなければ、恋愛模様や対立劇も無い。(実際は無いことはないが、どうでもいい感じで流される)

ただひたすらな猫たちの宴。まさに、猫の猫による猫のための猫映画。
ストーリーらしいストーリーが無いまま、どんどんとクライマックス的な展開に進んでいく常軌を逸した映画世界に対して、“マタタビ”を嗅がされたかのように茫然自失状態であった。


面白かったか面白くなかったかで言うと、きっぱりと「面白くない」し、極めてバランスの悪い失敗映画だろうとは思う。

ただ同時に圧倒的に「変な映画」であったことも間違いないし、予想通りにその「奇妙」さはフツーじゃなかった。(ネズミとゴキブリを調教する“おばさん猫”のくだりとか最高にイカれてる)

大団円のラストシーンでジュディ・デンチ御大が“カメラ目線”で我々に宣言してくる通り、要は「(私たち)お猫様の映画にとやかく言うんじゃないよ!」ということなのかもしれない。
鉄腕麗人さん [映画館(字幕)] 4点(2020-02-01 22:42:43)
鉄腕麗人 さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2025-02-02真実の行方7レビュー7.46点
2025-01-27E.T.8レビュー7.20点
2025-01-27エイリアン:ロムルス8レビュー6.26点
2025-01-22MEG ザ・モンスターズ27レビュー4.75点
2025-01-03ヘルドッグス8レビュー7.15点
2025-01-03フェイブルマンズ10レビュー6.66点
2025-01-03男はつらいよ 純情篇7レビュー6.65点
2024-12-29素晴らしき哉、人生!(1946)9レビュー8.34点
2024-12-29ナポレオン:ディレクターズ・カット10レビュー10.00点
2024-12-26レッド・ワン7レビュー5.66点
キャッツのレビュー一覧を見る


© 1997 JTNEWS