チャップリンの独裁者 の ひろみつ さんのクチコミ・感想

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チャップリンの独裁者 の ひろみつ さんのクチコミ・感想
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便宜上満点をつけたけど、本音を言えば、何点つけても足りないです。人類の財産みたいな映画。またこの世に戦争と言うものがあるかぎり「古く」なることを許されない映画でもあります。多くの方がいみじくも指摘されてるように、ドイツとまだ交戦状態になかったアメリカ、ナチスが猛威を振るっていたこの時代に、この映画を創られることは、アメリカにとっても困ることだった。ヒットラーは、チャップリンがこれを製作中との報を聞き激怒したといいます。何よりすごいのは、まるで神の目のようなチャップリンの視点です。ヒットラーをただ糾弾するのではなく、自分の中にある、そして人間の中にある「世界を征服したい。独裁したい」という欲望、その象徴として独裁者というものを完璧に描いているところ。歴史の結果の悪人としてのヒットラーを描いていない。引き合いに出すのも大人気ないけど、シンドラーのリストのような、テーマパークもどきのナチスの悪の単なる解説とは、天と地の差がある。また、細かい部分でのチャップリンの計算も驚嘆すべきものがあり、例えばヒンケルが執務室で、大きな地球儀の風船を、「世界は我が物」と陶然と悪魔的なバレーを一人踊るところ。地球をお尻で突き上げる皮肉もすごいが、突き上げられた地球儀が、トメニア軍のマークに重なるところ。トメニア軍のマークは×がふたつ。これはダブルクロスといい、アメリカのスラングで「ペテン師、裏切り者」の意味らしい。今はなき、淀川さんが山田洋次監督との対談で「チャップリンは、ヒューマンな人だから、すごい厳しい怖い面もある。本当に悪い奴の苛め方はすごいからね」と言われたのが実感できる。とにかくこの映画でのチャップリンの独裁者をいじめる情け容赦の無さは徹底的です。いま言ったようなことを、大爆笑の中で完璧に描いているのは、もっとすごい。現実に対する緊張感の高さもあるのでしょうが、特に冒頭の十数分のマシンガンのようなギャグの速射はどうだろう!ラストの演説の素晴らしさは言うまでも無い。中学1年の時、超満員の劇場で本作品を見たけど、ラストでその場にいた誰もが拍手したのは、後にも先にもこの映画だけ。映画館で、あんな感動的で割れるような拍手を聞いたのもこのときだけ。あれは忘れられない。
ひろみつさん 10点(2003-05-24 20:37:48)(良:3票)
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投稿日付邦題コメント平均点
2017-03-29母べえ0レビュー5.17点
2016-11-19リベンジ・マッチ8レビュー6.12点
2016-10-22GODZILLA ゴジラ(1998)4レビュー4.39点
2016-10-22GODZILLA ゴジラ(2014)7レビュー5.57点
2016-10-22シン・ゴジラ9レビュー7.25点
2016-01-15影なき狙撃者9レビュー7.07点
2016-01-06椿三十郎(2007)3レビュー5.56点
2015-12-27るろうに剣心1レビュー5.82点
2015-12-05龍三と七人の子分たち9レビュー5.16点
2015-12-05静かなる男10レビュー7.82点
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