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黒澤監督が女性を主人公にしたということで、すごく期待してたんだが・・・・ガックリ。物語はすごくいいし、それだけに残念、勿体無い。熊井啓監督はもちろん大巨匠なんだけど、クライマックスの大洪水の場面を除けば彼向きの題材ではないと痛感した。生真面目な中学生が、精一杯背伸びして作ったような、あるいは新劇の舞台を見てるような窮屈さ、気恥ずかしさを台詞の一言一言にかんじてしまう。色町の「粋」や「いなせ」が全然出ていないんだもの。ああ、熊井監督ってモダンボーイじゃないんだなと思ってしまった。一言で言うと、台詞から演出からすべてが「野暮」なんですよ。江戸っ子が本当に言いたいことでも、わざとちょっと外して言う。ストレートに言うのを照れる。そんな江戸っ子のシャイから来る屈折した美意識のようなものが全く無視されていて、演劇見てるようだった。音楽もトランペットでしょ?江戸の色町の話なんだから長唄、端唄、小唄や三味線でやってよ。それから無理に現代の感覚を盛り込もうとしてるのも見てて邪魔だった。監督は最近の若い女性に映画を見てもらって、彼女らの意見を参考に撮ったというが、そんなことしなくていいの。今時の女性の感性やら意見だのは無視していいの。女性の感性=優れているっていう思い込みが仇になってるよ。江戸時代の価値観をいまの価値観で裁断するのはいいことだとは思えないし、キツイ言い方をすれば「卑怯」とすら言える。不毛です。「アメリカの西部劇はインデアンを差別してるからよくない」と「今」の価値観で裁断しても意味がないのと同じ。やはり黒澤演出で見たかった、あるいは愛弟子の小泉さん、他に適材がいっぱいいると思うよ。山田洋次監督も女性を描くの上手いから彼が撮ってたらもっと感動的な映画になったかもしれない。結果論だけど。それにしても満点の星空のラスト「野良犬」へのオマージュのつもりなのかもしれないけど、あの流れ星のセンスは頭が痛い・・・・。本当は3,4点にしたいんだけど、洪水のさすがの迫力に免じて6点。
【ひろみつ】さん 6点(2004-01-14 14:44:58)(良:1票)
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