あるいは裏切りという名の犬 の ペリエ さんのクチコミ・感想

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あるいは裏切りという名の犬 の ペリエ さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 あるいは裏切りという名の犬
製作国
上映時間110分
劇場公開日 2006-12-16
ジャンルドラマ,サスペンス,犯罪もの,刑事もの,実話もの
レビュー情報
《ネタバレ》 久々のノワール映画で、全体に暗い映像で音楽も抑えめ。ハリウッドとは違う、しっとりとした艶のあるノワール映画です。これがハリウッドに行くと、スピード感とスリルはあるのですが、騒々しく艶のない映画になりがちで、それも嫌いではないのですが、本作は、このしっとりした艶が良さのひとつですね。
クランは冷酷非情な悪人というより、権力志向が強いが弱い、いわば一般的な人間で運が悪過ぎたにすぎないかも。レオの妻が死んだ際、撃たれて死亡したと偽ったのは、罪悪感、それもレオに対する罪悪感だろうし、手錠をはめられたレオが娘にキスをする為に手錠を解くことを特別に許すあたり、出来る限り善人でありたい、それでいて出世もしたい通俗的なグランが想像できる。
一方レオは、職業倫理より個人としての人間性、つまりは信頼関係を最重視する人間で、情報を得た見返りに犯罪を見逃す、これは警官の職業倫理からすれば当然間違いで、彼は上層部に報告して、情報は得て、且つ、情報屋(シリアン)を捕まえるのが警察官としての模範だろう。しかしここで、個人としての人間性・価値観を重視するレオは、犯罪者である情報屋を最後まで庇う。そして庇って貰ったシリアンもレオの妻に義理として金を届ける。
社会的には真っ向から対立するはずの警官と犯罪者が、その社会的仮面を超え、個人として信頼関係を築いている。不完全な社会(そもそも完璧な社会など存在し得ない)では、個人の価値観が社会の規範を超越し得ることがあり、その個人の価値観をそのまま社会正義へ横滑りさせてしまうと、どこか嘘くさくなるが、本作は映像・音楽同様静かに底流させており、これが上質ノワールとして成立させている要因ですね。
ペリエさん [DVD(字幕)] 9点(2010-10-31 14:55:09)
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投稿日付邦題コメント平均点
2019-05-06飛べ!ダコタ9レビュー8.40点
2015-08-24柘榴坂の仇討6レビュー5.50点
2012-07-08ミラーズ・クロッシング10レビュー7.18点
2011-04-24殺人の追憶10レビュー7.21点
2011-02-06ゴーン・ベイビー・ゴーン9レビュー7.11点
2010-10-31あるいは裏切りという名の犬9レビュー6.90点
2010-05-04シリアナ2レビュー4.98点
2009-01-12静かなる男10レビュー7.82点
2008-07-13ディパーテッド8レビュー5.98点
2008-06-08シン・シティ8レビュー6.53点
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