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「目の前の悲惨な現実に対し、映画というメディアは何かできるか」「映画作家としてどこまでリアルタイムな映画が作りえるか」これこそマイケル=ムーア監督の挑みであり、映画作りの真の狙いなんだと思う。そして、その狙いどおりこのフィルムはまさに、この時代の中でリアルに呼吸している。また監督は、封切1年経たずに今作品をTV放映に漕ぎ着けるつもりらしい。公開1年未満でのTV放映はアカデミー賞選考対象外となるらしいが、それでも、このフォルムの“旬”を誰よりも分かっている監督だからこそ、賞よりTV放映を選んだのだろう。僕は、こんな監督の試みとガッツに惚れた。映画の新しい可能性を感じ取れる。このムーアという男の風貌や体格はいかにも白人アメリカ人だ。だけどその眼差しは、さらに弱者の側にある。やさしい視線と、批判の矛先へのシビアな追求。ここに監督なりの“自国の愛し方”が感じられるんです。このフィルムからは「ブッシュ大統領を中傷してやれ」とか、そんなマイナスなエネルギーはあまり感じられなかった。むしろ温かい前向きなエネルギーに溢れていると思う。それが監督の誠意と信念に立脚しているに他ならない。が、そんなマジなところを映画で見せるのは照れ臭いのだろう、ブラックユーモアいっぱいのマイケル節となる。この辺りもご愛嬌であり、ドキュメンタリーでありながら、マイケル=ムーア監督の作家性や、人となりがふっと垣間見れる。敵に回したらコワイが、結構イイ奴なのかもしれない。
【BUNYA】さん 10点(2004-09-21 01:37:09)(良:1票)
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