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《ネタバレ》 どこから書けばよいのか。なんだか楽しかったことは覚えている。おそらくそれは、COCCOさん演じる、里中真白が出てきたあたりからだろう。長い映画の中、彼女の存在に目を奪われ続けた作品だった。
意思薄弱、と言って過言ではない皆川七海がネットを介して男と出会うところから物語は始まる。ネットで出会いを求める、と言うのが作中唯一の彼女の自発的な欲求の発露による行動だったかもしれない。それ以外は全て知らず、分からず、流されるだけの存在だった。物語を文字通り誘導するのは綾野剛さん演じる安室という一人の男。「なんでも屋」である彼は時に結婚式の出席者を演じ、時に良き相談者・理解者となり、時にこっそりと人を陥れもする。彼は作中の登場人物でありながらもさながら舞台裏の黒子のように、マリオネットの繰り手のように、七海を操り続ける。どういう目的かはわからないが、彼はランバラルの友人として七海に近づき、彼女にとって唯一の信頼できる人になっていった。彼にとっては彼女は金づるだったのか、暇つぶしのおもちゃだったのか、どうなのだろう。第三者から見れば安室の存在が七海にとって良さそうとはとても思えないのだが、七海は安室に全幅の信頼を置き、おかげで救われたと思っている。こういう場合、自分が七海の家族や友人だとしたら安室をどういう風に扱っていくべき何でしょうね。 徹底して七海がコロコロと転がされるのを眺める映画でした。上述したように、安室と七海の操り劇、といったふう。操られた七海が色々な場面をどのように転がっていくのかをただただ見ていた。そしてそれが1番艶々と輝いていたのが真白と過ごしていた時間だったと思う。真白の奔放な笑顔・声には本当に惹きつけられた。一度は雑踏で見失い、しかし屋敷で再会できたときの喜びは七海と同じくらい共有できた気がします。私も、リップヴァンウィンクルとつながってみたいと思いました。 安室の置き場所が定まらず映画としてどう評価するべきかが難しいのですが、ただ間違いなく言えるのは、自分の好きなものが全力で輝く姿を見ることは、とても心が喜ぶということ。映画を評価する言葉としては不適切かも知れませんが、それらがスクリーンに映し出されている間はそれだけで幸せでした。coccoとクラゲ、反則です。 あと真白の幸せの捉え方が響いた。 「この世界は幸せであふれている」 「私の幸せの限界はありんこより早くて」 「人の優しさや真心がそのままだと怖いから、だからお金で買うんだ」 それで10点はやりすぎかな。個人的評価です。あしからず。 【TANTO】さん [インターネット(邦画)] 10点(2022-09-29 14:33:35)
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