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被告の姿を描写しないことによって、被告への感情移入をしにくくし、荒唐無稽意味深長な話し合いの「コメディー性」を際立たせて「本家」との差別化を図ったのは見事だが、いかんせん役者達の無計画なオーバーアクトは「笑いのツボ」であるはずの陪審員達の「シュールなリアリティー」を駆逐し、その芝居の甘さを「アクの強さ」だけで押されても、正直どこで笑っていいのか分からなかった。 リアリティーを失ってしまった陪審員達の話し合いは、「劇団員の楽屋のリハーサル」程度にしか見えず、評決の行方などもドタバタの中で、もうどうでも良くなった。 「本家」が偉大なる傑作なだけに、パロディーにもそれなりの完成度が求められる。 そしてその間には、まだ太平洋ほどの溝があいていたように思う。 随所に「本家」をリスペクトしたシーンも含まれてはいるが、焼け石に水だ。 日本人の滑稽さをペーソスのある笑いで描こうとしたのは分かるが、かなり消化不良。 今さら言っても遅いが、このテーマならむしろ伊丹十三監督あたりの得意分野だったのではないか。 もっと頑張れよ日本映画。 キビシ過ぎるか。
【Beretta】さん [DVD(邦画)] 4点(2003-12-27 17:27:56)(良:2票)
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