イブラヒムおじさんとコーランの花たち の anemone さんのクチコミ・感想

Menu
 > 作品
 > イ行
 > イブラヒムおじさんとコーランの花たち
 > anemoneさんのレビュー
イブラヒムおじさんとコーランの花たち の anemone さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 イブラヒムおじさんとコーランの花たち
製作国
上映時間95分
劇場公開日 2004-11-20
ジャンルドラマ,小説の映画化
レビュー情報
60年代初頭のパリの裏町を舞台に、家庭に恵まれない孤独な少年と、彼に愛情を注ぐイブラヒムおじさんとの心の交流を描く・・・というといかにもありがちな話ではあるのだが、込められたメッセージはあまりにも深く、重い。最後の肉親であった父親に裏切られたユダヤ人の少年は、異教徒であるイブラヒムおじさんの養子になりたいと願い出る。彼にとってユダヤ人としてのアイデンティティは家族の裏切りによって完全に否定され、イブラヒムおじさんこそが彼の欲していた全てを与えてくれる存在であったことになる。だが人生に必要なものは全てコーランの中にあると言い切るイブラヒムおじさんの孤独な半生が明らかになるにつれて、実は少年モモの存在こそが、おじさんの人生にコーランだけでは決して与えられなかった最後の一片であったことがわかってしまう。二人の旅するおじさんの故郷、そこは赤茶けた大地の中にわずか4、50軒の家が肩を寄せあう貧しい村だ。その村からフランスに渡り、何十年もの歳月を黙々と働き続けて来たおじさんにとって、モモはその長い人生が決して無駄ではなかったことを証明する一つの光明でもある。底辺で生きる人々のささやかな幸福を描いた作品はいつも、心の中に一筋のやるせない翳りを残し続ける。パリの裏町でひっそりと数十年間に渡る地味な人生を歩き続けたイブラヒムおじさんの孤独は、オマー・シャリフの名演技と共に永く記憶に残り続けるだろう。
anemoneさん 9点(2004-11-30 01:12:01)(良:1票)
anemone さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2008-09-01南極物語(2006)8レビュー6.04点
2008-05-02実録・連合赤軍 あさま山荘への道程10レビュー6.72点
2007-04-21ロンゲスト・ヤード(2005)6レビュー6.40点
2007-04-19ミーン・マシーン9レビュー5.55点
2007-04-16セレンディピティ5レビュー5.73点
2007-04-14N.Y.式ハッピー・セラピー5レビュー5.43点
2007-04-14ビッグ・ダディ8レビュー6.05点
2007-04-08ジェリー10レビュー3.11点
2007-04-05ステイ6レビュー4.21点
2007-04-0450回目のファースト・キス(2004)8レビュー6.81点
イブラヒムおじさんとコーランの花たちのレビュー一覧を見る


© 1997 JTNEWS