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リック・ベイカーによるあまりにも有名な変身シーンをさておいても、なかなかの傑作と言って良いのではないかと思われるジョン・ランディスの異色スリラー。同じ英語圏でありながらまったくの異邦人として扱われるアメリカ人の主人公が、異国の空の下で共に旅していた親友を亡くし、自らは狼男として生きるハメに陥る、哀愁漂うコミック・ホラーである。コメディとして楽しむも一興、一人のアメリカ人の悲しい運命に涙するも一興。ランディス得意のカーチェイスも、短いながらもなかなかのキレの良さで楽しめる仕立てになっている。イギリスの片田舎で異端扱いを受けるアメリカ人の孤独は、我々日本人にはちょっと馴染みづらいものがあるが、よくよく真剣に観返してみると、普段は我が物顔で世界の王様面をしているアメリカ人が、異国を彷徨えば単なる旅行者にすぎないことを痛烈に皮肉っているようでもあり、あるいは歴史ある大英帝国の伝統に手も足も出ないアメリカ人の情けなさを笑っているかのようでもある。伝説の魔物狼男という由緒正しいアイテムを通じて、アメリカを自虐的に笑ったコメディとでも言うべきか。冒頭とラストに流れる2つのバージョンの「ブルームーン」が印象的。
【anemone】さん 8点(2003-12-09 23:32:27)
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