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実話を映画化する以上、小説よりも奇なる部分を求めてしまうのは仕方のないことだと思うので断腸の思いで減点。でもこれはなかなか良く出来た作品だと思います。カネになる訴訟を探して企業相手の環境汚染訴訟に関わりあった主人公が、思いっきり情に流されて泥沼にハマッて行くみっともなさが良い。人生カネより正義なんだぞ、といういかにもアメリカ人好みのアンサクセス・ストーリーですが、どこまでもビジネスライクに訴訟社会を泳ぎ切る意気込みに溢れた上昇志向の中堅弁護士から、被害者の心情に巻き込まれて良心の囁きに耳を傾け始める、どこかで善良さを捨て切れない主人公像にジョン・トラボルタの個性が圧倒的にハマりました。トニー・シャローブ、ウィリアム・H・メイシー、彼らの存在感は物語の不透明感を際立たせると同時に、どちらかと言えば陽性で浮世離れしたトラボルタの個性を現実の世界に引き戻す重要な役割を果たしていると思われます。96~99年はジョン・トラボルタの当たり年で、この機を逃すまいと彼は俳優であれば一度はやりたかったであろう役を山ほどこなしました。これは彼なりの「セルピコ」だったんだろうと思いますし、アメリカ人俳優なら誰でも一度はやってみたいであろう理想と真実に全てを賭ける男の物語です。そのファンタジーにどこまでつきあえるかが好き嫌いを分ける鍵となるでしょうが、私は基本的にこういうバカは大好きなので。社会派と言うには今いちキレが悪い気もしますが、たまにはハリウッドにこんな映画があっても良いのではないでしょうか。
【anemone】さん 9点(2004-10-09 02:18:55)
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