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SFXという手法がエスカレートし尽くしてもはやどうにもならないところまで行ってしまい、「見たこともない映像」だけが突出していることが求められた時代、おろそかにされがちだったストーリーが始めて技術に追いついた作品。そもそも映画を実現させるための手法だったはずの技術が、SFXの見せ場を盛り上げるために考えられたストーリーみたいな本末転倒なことになっている作品が多かった中で、話として面白く、かつそれを実現させるための手法としてSFXが品良く上手に取り込まれている点が評価できる。美しさのためなら手段を問わない、いささか極端なキャラクターのメリル・ストリープとゴールディ・ホーンも、シャレにならないほどの狂奔ぶりで笑わせてくれた。女性がアンデンティティを「美」に見出した場合の暴走ってたぶんこのぐらい行ってしまいそうな、女性にとっては妙な説得力がある。二人の間で翻弄されっぱなしのブルース・ウィリスも、本来の持ち味であるダメ男ぶりが発揮されていて良かった。そもそもロバート・ゼメキスというのは、SFXの手法に頼らなくても充分楽しい映画を撮るだけの技量がある人。最近の彼はほとんどSFXの虜になってしまっている感があるけど、この作品を初めて観た頃は、ああこういうバランス感覚を持てる人がやっと出て来てくれたんだなあというある種の感慨がありました。イザベラ・ロッセリーニやメリル・ストリープという比較的シリアスなイメージの強い大御所二人が、敢えておバカな役に挑戦してくれたのも嬉しかったです。
【anemone】さん 8点(2003-12-14 16:38:10)
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