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《ネタバレ》 家族として機能していない家族、これは現代のアメリカが抱える最大のテーマなんだろうと思います。なんだかヤケに元気な奥さんと、魂を抜かれたサエない中年男、全ての迷える中年男性にとってレスター・バーナムこそ等身大のヒーローなのでしょう。ケビン・スペイシーはソーラ・バーチやウェス・ベントレーのみずみずしい存在感に圧倒され気味で、「なんだ、この程度だっけ?」と観ている時にはちょっと落胆したんだけど、よくよく考えてみたらこれこそレスター・バーナムという男だったわけで、そういう意味でケビン・スペイシーって本当に上手い、わきまえた役者なんだなあと納得。若手を食ってしまうこともやろうと思えば出来ただろうけど、レスターという男はそういう男じゃないんですよね。私自身は、冴えない中年のアメリカ人男性だったことは今まで一度もないんですけど、彼の痛さはとってもよくわかる気がした。映画は時代を映す鏡だ、という言葉があるけど、この映画はたった3人の非常にミニマムな世界を通して、少なくともこの映画が作られた時点でのアメリカという国を徹底的に描き切っていると思う。国際紛争でも政治でもなく、ホームドラマという形でこういうことも描けるんだということを伝えてくれたという意味でも、評価したい作品だと思います。
【anemone】さん 9点(2003-11-22 20:13:22)(良:1票)
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