ボーイズ・ドント・クライ の もっち~(←にょろ) さんのクチコミ・感想

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ボーイズ・ドント・クライ の もっち~(←にょろ) さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 ボーイズ・ドント・クライ
製作国
上映時間119分
劇場公開日 2000-07-08
ジャンルドラマ,犯罪もの,実話もの,同性愛もの
レビュー情報
《ネタバレ》 フランスの哲学者ボーヴォワールの「女は女として生まれるのではない。女になるのだ。」という言葉を残した。つまり女性性や男性性というのは社会が作り出したものでしかないという意味だ。男性として生まれた者は男性「らしく」、女性として生まれた者は女性「らしく」振る舞い、行動るすことを社会から強要される。そしてそれを拒むと社会から排除されるということが今でもあるので、ボーボワールの言っていることはとても興味深い。この映画は性差別の中でも性同一性障害について描かれていて、性同一性障害についてよく分かる良い作品であると思う。しかしこの映画には差別の本質を曖昧にしているという致命的な欠陥がある。我々が当たり前のように口にする「男らしくない」とか「女なんだから」という言葉は、性同一性障害の人や同性愛者をある性別の枠組みに無理やり当てはめさせようとすることだ。そしてそういう意味では性同一障害の人に対して誰でも加害者になり得る。このように性別によって、人をある枠組みの中に押し込めようとすることが、性差別や性同一性障害の差別の本質なのだ。この映画では、男は彼女(ヒラリー・スワンク)の男性性を否定し、彼女を女性という枠組みの中に押し込めるために彼女をレイプしている。しかし、映画を見る限り男が何故彼女をレイプしたのかという理由にはほとんど触れていないし、男は狂気に駆られてレイプしたようにしか見えない。しかも、レイプは単純に犯罪として描かれ、性同一性障害への差別として描かれていないのである。すると当初の性同一性障害の話はどこかに行ってしまい、単にレイプされた可哀想な女の子の話として完結してしまっているのだ。性同一性障害の差別の本質を浮き彫りにするためには、何故男が彼女をレイプしたのかという心理に迫る必要があったはずだ。この映画はその一番大事なところがポッカリ抜けてしまっているのだ。これではヒラリー・スワンクの迫真の演技も報われない。残念としか言いようが無い。
もっち~(←にょろ)さん 6点(2003-12-20 12:01:14)(良:2票)
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投稿日付邦題コメント平均点
2005-03-02あずみ3レビュー4.51点
2005-02-23マスター・アンド・コマンダー6レビュー6.14点
2005-02-23ソラリス4レビュー3.89点
2005-02-23ブラックホーク・ダウン4レビュー6.65点
2005-02-23トレマーズ43レビュー5.26点
2005-02-23マッチスティック・メン7レビュー6.94点
2005-02-23ピッチブラック7レビュー6.46点
2005-02-23ケイティ5レビュー3.66点
2005-02-23フレディVSジェイソン6レビュー5.71点
2005-02-23コール5レビュー4.86点
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