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お台場の映画館は、泣くために集まった若い女性でいっぱいで、映画も後半になれば、そこかしこからすすり泣きの音が聞こえた。
私も、例外でなく、こりゃ泣けるだろうの期待の中で赴いた。現代人には「泣きたい」願望がある。 この映画、確かに泣きどころは随所にある。 半ばこれみよがしなほど。 けれど、そういうんじゃ、私は泣けないの。 確かにちょっと「くっ」ときた。 でも、なんだろう、どこかで聞いたような話だったからか、読めすぎる展開のせいか。 そして、後になればなるほど、登場人物の心情の、不自然な描かれ方。 美しい背景と美しい俳優(アキ役の女の子は確かにとても魅力的)の中で、ナチュラルな人間の機微を裏切っては、それは不協和音。 そんなにキレイに割り切れるなら、そこまでの苦痛はなんだったのか。 透明感に満ちた思い出は、なんだったのか。 映画向けに付け加えられたという後日談エピソードが邪魔っけだったのかもしれない。 それでもこの映画は、私にとって忘れられないものになった。 映画館を出ると小ぶりの雨で、メディアージュのデッキをふたり、急ぎ足に歩く。 映画の感想を二言三言交わして沈黙が続く。 必然性のないタイミングで、デジャブのような言葉が沈黙を破る。 【よしの】さん 7点(2004-06-29 17:03:02)(良:1票)
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