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《ネタバレ》 「ポテチ」というタイトルから見る前はどんな映画なのか想像できなかったのだが、見始めてすぐに引き込まれた。主人公である泥棒・今村忠司(濱田岳)のある秘密をめぐる物語で、今村が健康診断に行った話や尾崎という野球選手に異常に固執しているなどさりげなく伏線を張り巡らし、結末に向かっていくのだが、その伏線の張り方がやはりうまいし、また68分という短い映画だが一切無駄がなく、巧みな構成で濃密な映画になっていて見ごたえはじゅうぶんにあり、面白かった。前半は喜劇色が強く、今村も少し変わった言動をする男という印象なのだが、同時に魅力的でもあり、彼の秘密が明かされたとき、彼の母親(石田えり)に対する思いや、どんな気持ちで尾崎に固執していたかが痛いほど分かって、もう共感せずにはいられなかった。タイトルにもなっているポテチを恋人(木村文乃)と食べるシーンで、今村が間違えて恋人の分に買っていたコンソメ味を食べてしまったにもかかわらず、恋人に交換しなくていいと言われ、思わず泣き出してしまうシーンは見たときに思わず大笑いをしてしまったのだが、最後まで見ると、ここも切なく、見終わってから再見すると印象が最初とは全然違うものになるだろう。(二度見れば良かった。)ほか、前半で今村が言っていたリンゴが木から落ちた話や三角形の内角の和の話も無意味な話に終わらず、ちゃんと映画の中で効いているのがいい。ラストの代打の尾崎が(互いに親子と名乗ることはない実の母親が見ている前で)放つ場外ホームランは、それによって人生の何かが変わるわけではないけれど、でも、主人公たちの人生に希望の光を灯すようなそんな一発であったと思いたい。ぼく自身もこのシーンには元気をもらえたような気がした。
【イニシャルK】さん [DVD(邦画)] 8点(2017-05-15 01:41:02)(良:2票)
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