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《ネタバレ》 相米慎二監督による松竹のホームドラマ。確かに相米監督の映画としては息抜き的に手がけた感があり、ほかの相米監督の映画で感じられるような力強さや癖の強さといったものがなく、オーソドックスな松竹の人情喜劇的な色合いが強い。ストーリーは死んだと聞かされていた佐藤浩市演じる主人公の父親(山崎努)が突然現れたことによる騒動を中心に、登場人物たちの日常を淡々と描いていて明らかに地味なのだが、それが心地よく、最後まで飽きることなく見ることが出来たし、素直に好きなタイプのいい映画だと思う。しかし、あまり見たというわけではないのだが、相米監督の初期作である「セーラー服と機関銃」、「魚影の群れ」に比べると丸くなりすぎているような気もしてやや物足りなさを感じるのも事実といえば事実。ところで、相米監督のこの映画の前作である「夏の庭」と同じく人間の死をテーマにしていて、偶然かもしれないし、考えすぎだとは思うが、今にして思えば相米監督はこの頃から自らの死というものを意識していたのかもと勘ぐってしまう。キャスティングに目をやると、「夏の庭」に出演していた三國連太郎の息子である佐藤浩市が次作である本作で主役を演じているのは面白いし、富司純子、藤村志保という東映、大映のかつてのスター女優が共演しているのも見どころの一つ。父親を演じる山崎努も良かった。
【イニシャルK】さん [DVD(邦画)] 6点(2013-10-24 17:49:53)
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