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溝口健二監督が終戦の翌年に手がけた時代劇。タイトルから浮世絵師・喜多川歌麿の女性遍歴を描いた映画かと思っていたが、どうも違う。出てくる女たちは田中絹代以外はほとんど印象に残らず、はっきり言って誰が誰なのかもよく分からない。歌麿の浮世絵師としての生きざまを描いたものとしても物足りなさが残る。それに物語にも入り込みにくかった。溝口監督らしさは田中絹代演じるおきたの描き方や、溝口映画では定番の長回しなどに見られるが、全体として深みのない映画で、凡作の域を出ていない。この時代の溝口監督は低迷していたようだが、この映画もその一つではないだろうか。ただ、田中絹代は好演していて、晩年の溝口作品の顔としてのその後の活躍を予感させる演技を既に見せており、これから溝口監督と田中絹代は数々の名作を生み出していくことになるのだなあと感じることができる。
【イニシャルK】さん [CS・衛星(邦画)] 5点(2012-12-27 17:33:52)
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