ライムライト の 藤村 さんのクチコミ・感想

Menu
 > 作品
 > ラ行
 > ライムライト
 > 藤村さんのレビュー
ライムライト の 藤村 さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 ライムライト
製作国
上映時間137分
ジャンルドラマ,コメディ,モノクロ映画,音楽もの,ロマンス
レビュー情報
 映画を観てここまで泣いたのは初めて。一本の映画の中で2度泣いたのも初めて。
 『素晴らしき哉、人生!』と「古今東西泣かせる映画ベスト1」を争う作品だが、まだ未見の人に是非とも助言したい。この作品を見るのは、それまでのチャップリンの作品をいくつか見て、チャップリンの人生について書かれた文章を軽くでも読んでからにしてほしい。そうすれば感動が何倍にもなるから。
 この作品の醍醐味は、主役のカルベロとチャップリンとを重ね合わせて見ることにある。僕はチャップリンの作品を5~6見て伝記も少し読んでから今回の黄金町チャップリン映画祭に足を運んだのだが、作中カルベロが夢の中でヒロインとともにステージに上がって『虫に捧げる歌』を歌うというなんでもないシーンで泣いてしまった。「ラヴラヴラブラヴ……」とラヴを繰り返すだけなのだが、事前に見た『街の灯』のラストシーンや『独裁者』の演説シーンや『殺人狂時代』の有名な台詞が頭にあるので、カルベロ(=チャップリン)の口にする「ラヴ」という言葉に過剰に反応してしまったのだ。ただ「ラヴ」と言っただけで涙が出てくるのだから、ラストシーンなどもう口の中に涙がだくだくと流れ込んできてしょっぱくてかなわない。このときの胸が詰まるほどの感動を他の人にも味わってほしいので、事前の予習を強く薦める。
 感動作品だからといって映画として優れているとは限らない。本作品も大まかなストーリーは典型的なお涙頂戴型で、有名なテーマソングもまた然り。昔のチャップリンが持っていた映像やアクションに対する異常な情熱は、本作品ではカルベロが口にする台詞に注がれている。やたらと説教臭い台詞は、全てチャップリンの人生観。人によっては押し付けがましく感じるだろう。サイレント期の作品に見られる、「どうやって映像だけで観客に伝えるか」という豊富なアイデアは、全くと言っていいほど見られない(バレエシーンやコメディ劇シーンは別枠で扱うべき)。チャップリンも衰えたのか……と哀しくなるが、だからこそカルベロとチャップリンとを重ね合わせてみたときの涙が光るというものか。
藤村さん 9点(2004-02-12 23:02:11)(良:3票)
藤村 さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2005-02-09SUPER 8(2001)5レビュー6.66点
2005-02-04運動靴と赤い金魚4レビュー7.64点
2005-02-04やかまし村の子どもたち6レビュー7.52点
2005-02-03美しい夏キリシマ8レビュー6.55点
2005-02-01生きるべきか死ぬべきか10レビュー7.89点
2005-02-01黒い罠9レビュー7.03点
2005-01-30のんき大将 脱線の巻9レビュー9.00点
2005-01-25ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ6レビュー6.13点
2005-01-25オールド・ボーイ(2003)7レビュー7.03点
2005-01-2520466レビュー4.78点
ライムライトのレビュー一覧を見る


© 1997 JTNEWS