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《ネタバレ》 笹原と明日香がドア一つ挟んで霊と対峙し、心の痛いところを突かれる誘惑に必死に耐えているシーンはとても見応えたがあった。家族で事故に遭い、自分一人だけ生還した人は、これほどの罪悪感に苦しむのかと身も凍る思いだった。極端な例えで言えば、白虎隊や特攻隊で生き残った人などは、その心中の苦しさは計り知れない。このシーンを視聴できただけでも本作品を見た甲斐があったとさえ思った。
しかし、その後の怒涛のぐちゃぐちゃは、ああ、やっぱりこう来たかとがっかり。フラッシュバックに絶えず苦しみ、生還者として前を向かねばならない葛藤を最後までしっかり描けていたら、手段としてのホラーとなり、文学的な厚みのある作品になったと思うのに。ホラーとして見せたいがための物語となっていて、とんでもなく薄っぺらな肝試し風映画になってしまった。どうしてCG等を使ってあり得ないおどろおどろしい光景を無理やり作る必要があったのだろう。現実に、団地で孤独死を迎える人が大勢いるのだし、現代社会が抱える問題を太い軸にして、いっそう背筋を凍らせる話にして欲しかった。例えば、端と端の部屋しか住居人がおらず、夜はほとんど灯りがつかないゴースト化した団地という設定だったら、作り物のあり得ない壁穴なんかよりよっぽど怖い。生存年数の短い子供の霊よりも、気配を断った人間の方が何倍も恐ろしい。 【tony】さん [インターネット(邦画)] 6点(2019-11-27 01:01:16)
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