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ただただ、無意味な戦いを無くしたいという願いから作られている映画だと思う。宗教紛争というものに縁遠い生活を送っている身としては、なぜここまで、という疑問符だらけのストーリーである。男は戦い、女は支えるという古い因習がはびこり、ただ一人、命ほど大切なものは無い、と訴え続けるトレーナーのアイクは枯葉のように葬られていく。悲壮で固い空気でいっぱいだ。そんな中、主人公ダニーが、ボクシングという手段で対戦相手ではなく因習に立ち向かっていく姿は、絶え間なくパンチを送り続けることで何かが変わるはず、という意図があるように思え、胸が締め付けられる。寡黙な彼が言葉を使わずに大きく叫ぶ。戦わなければ、負けることもないが勝つこともないのだ、この空気に囚われた町に穴を開けるのだ、と。身を挺して進みゆくダニーに心を揺さぶられる。気持ちが弱虫になっている時に観ると、この映画に込められた魂の力に吹っ飛ばされそうになる。
【のはら】さん 9点(2004-07-13 22:47:01)
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