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《ネタバレ》 末期を迎える人間をお涙頂戴だけで纏めなかった監督のスタンスには好感を持った。只、描き方が不自然なように思う。自分の残り少ない余命を知ってしまった若年の女性が果たしてあんなに淡々と現実を捉えることができるのか。発狂してもがき苦しんだり、周囲の人間に励まされたりといったことが無いこと(医者は例外として)に嘘臭さを感じる。山本常朝も「武士道は死ぬことと見つけたり」といっているように、「死」を考えることは活き活きとした「生」を考えるに当たってのパラドキシカルなものであるのだから、「死」の告知は一念発起するための楔とはなるのであろう。しかしそうであるが為にその「死」の告知を彼女の分岐点として安易に使用した監督の短絡的思考が伺える。更に自分の置かれた環境への絶望と温かな家庭からえる幸せとの狭間で何も考えずに生きていた女性が、あんなにも活動的に生きれるのか? とも訝る。凡庸な女性が何らかの事件を契機に自分探しをする女性を描きたかったのなら「死」と云う簡単なモチーフを使わないほうがベターではなかっただろうか。「死」を間近にした時、あんなに我侭で偽善的な行動に出るのか、私は腑に落ちない。悲しい物語を淡々と見せることを狙った映画だが、それが為、粗が大きかったようだ。末期の話としたら物足りず、自分探し映画として観ても物足りない。(映画館)
【komati】さん 4点(2004-03-26 17:40:47)(良:1票)
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