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《ネタバレ》 題材の良さを活かし切れていないかなというのが第一印象。個人的には、わざわざ映画館に足を運ぶよりも、DVDで充分かなという感じがした。
あえてなのかどうか分からないが、変なストーリーやエピソードを組み入れずに、素材をそのままの状態で召し上がれ、というのがこの監督の狙いのような気がする。 しかしながら、そういう狙いがあったとしても描くべきポイント等はきちんと描くべきだったと思う。個人的には、この題材をどのように調理するかのポイントとして①演技、②人間、③恐怖の三つがあるのではないかと思う。 ①『演技』 役者の演技をあまり非難したくないのだが、どう見ても彼らは上手くない気がする。彼らの演技では、ああいう状態に陥った際の気持ちや心の動揺など正直いって、観客には何も伝わらないのではないか。 恐らくああいう状態に陥った際の心の動きとしては、「(船がいない)一時的なパニック」→「(救助隊が来るであろう)楽観的な予測」→「(助けにこない)不安」→「(完全に海に取り残されたという)恐怖」→「(死にたくないという)パニック」→「(生きることへの)諦め」という段階を経ると思われるが、これらの心情や精神状態が演じられてはいない。 ②『人間』 ああいう極限状態になった際にどうしても出てしまうのが人間性である。本作でも「こうなったのはオマエのせいだ」と罵る場面もあるが、あれではやはり弱すぎる。 人間の汚い部分、綺麗な部分を両面見せるべきだろう。上手くやらないと「I LOVE YOU」が響かない。 そのためにも、ダイビングに行く前、彼らがどのような「夫婦」であったのかの情報を観客に上手く伝えるべきだったと思う。序盤は刺身の「つま」のような飾りではない。素材を活かす「わさび」のようなものだ。 ③『恐怖』 サメという物理的な恐怖も確かに大事だが、海に取り残されるという恐怖はむしろ精神面の恐怖(助けに来るものがいない、早く助けが来ないと溺死する、サメに襲われるのではないかと精神面でパニくる等)が重要と思われる。やはり①の演技と、物理的ではない恐怖を演出できる腕が重要になってくる。 また、肉体的な変化も描き足りないだろう。脱水症状や太陽の熱さ(曇ってはいたが)や海水の寒さは描くところだろう。そこを②の夫婦としてどう助け合い、励まし合ったのかを描くべきだろう。 【六本木ソルジャー】さん [映画館(字幕)] 4点(2005-07-18 21:29:18)
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