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《ネタバレ》 40年以上前の作品だから、古くさくて鑑賞に堪え得るものではないだろうと高をくくっていたら、意外や意外。結構しっかりとした作品で、カーアクション以外は言われているほどの「古さ」は感じられなかった。アジトに潜入して捕まって、逃亡して、ボスと対決するという展開もほとんどマンネリ化しているはずなのに、本作では先が読めそうであまり読み切れない手に汗握る展開となっている。40年前にこれを観せられれば、確かに人々は熱狂するのも分かる気がした。
驚かされるのは、40年も前にすでにボンドの人間像は完全に固まっていることだ。近年の作品と比べても、ボンドの人間像には変化は感じられない。 女にもてて、敵・味方構わず抱きまくる。ギャンブルは連戦連勝、タイマンでの喧嘩や格闘ならまず負けない。射撃もドライビングテクニックはトッププロ級で、高級スーツを着こなし、料理や酒にも精通している。クールで冷酷でありながら、情熱的な部分もあり、ウィットにも富んでいる男である。男性からみると、まさに理想的な男性像がジェームズボンドなのだろう。ボンドが人々から愛される理由としては、夢のような完璧な男性像であるボンドに自分自身を投影して、一時の間、自分が憧れの存在になりきれるからではないか。 また、本作から近年の作品まで、脈脈と受け継がれるもう一つの魅力は、多国籍感だろう。 イギリスの諜報部員が主人公ではあるものの、舞台はジャマイカで、敵のボスはドイツと中国人のハーフ、アメリカのCIAも絡んでくる。冷静にみれば、一つの島で繰り広げられる、こじんまりとしたスケールの話でも、登場人物や舞台や設定だけで、かなりスケールの大きな話になってくる。世界規模で活躍するボンドの姿も、先ほど述べた彼の魅力に磨きがかけられるのだろう。 適役のドクターノウは鋼鉄の義手でボンドをぶん殴り、ちょっとはボンドを追い詰めていたようにも見えたが、確かにハラハラとさせる演出としてはイマイチだったようにも感じる。彼の重要性としては、スペクターの存在を語らせることに意味があったのかもしれない。 一応ストーリーの重要な核である「ロケットの打ち上げ」がほとんど無視されてしまったのも、勿体無いかもしれない。上手くリンクさせればさらにハラハラ感を増せただろう。 冒頭の三人組、途中でも一回出てきたけど、その後出てきたかな?中ボスとして出せばよかったかもしれない。 【六本木ソルジャー】さん [DVD(字幕)] 6点(2006-10-14 23:25:08)(良:2票)
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