フロスト×ニクソン の 六本木ソルジャー さんのクチコミ・感想

Menu
 > 作品
 > フ行
 > フロスト×ニクソン
 > 六本木ソルジャーさんのレビュー
フロスト×ニクソン の 六本木ソルジャー さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 フロスト×ニクソン
製作国
上映時間122分
劇場公開日 2009-03-28
ジャンルドラマ,政治もの,実話もの,戯曲(舞台劇)の映画化
レビュー情報
《ネタバレ》 裏をかきあうような心理戦が攻防されるわけではないが、それぞれの思惑が交錯して、緊張感のあるインタビューを堪能できる。インタビュー程度でここまで面白く仕上げたことは賞賛できる。終盤までは一方的な展開だったが、見応えのあるバトルにはほとんどスポーツを鑑賞しているかのようなノリで引き込まされる。奇をてらわず正面から描ききった実直な真面目さは、ロン・ハワードらしい作品といえる。
本作のニクソンは意外と魅力的に描かれていたのではないか。
大統領らしい威厳としたたかさに溢れている一方で、人間らしさも感じられる。
ニクソンがこだわっていた靴のエピソードにしても、ニクソンはあのような靴を履きたかったけど、弱々しいイメージを嫌って履きたくても履けなかったのではないか。
本当にしたかったことが、彼は出来なかったのだろう。
インタビューのラストで、ようやく自分がやりたかったことができたのかもしれない。
本来ならば、ニクソンは主役になるべき存在ではなくて、脇役としてチカラを発揮するタイプなのかもしれない。
不相応な場を与えられたことが、彼自身の悲劇なのだろうか。
議会でも裁判でもなく、メディアだからこそ、彼の本音を引き出すことができたということも特筆すべきなのかもしれない。
ニクソンもまたカメラの前だから、自分の本音を語ったのだろう。
本作には、メディアのチカラの大きさということも描かれている。
資金難に苦しむフロストの姿も描かれていたが、やや中途半端な仕上がりになっている。
この辺りはばっさりと切るか、触れるのならばもうちょっと踏み込んで描くともっと面白くなったのかもしれない。
マスメディアに関するマネービジネスという視点からも描けば、より深みが増したのではないか。
本作を機会にニクソンの映画を何本も観てきたが、正直言って、ニクソンという人物がよく分からなかった。
孤独で弱い男なのか、それとも誰にも負けない強い男なのか。
無能な男なのか、それとも才能がある男なのか。
わがままで自己中心的なのか、それとも人一倍周囲に気を使っていたのか。
彼は世界を変えられるチカラのある男なのか、それとも無力なのか。
分かったことは、人間を単純に判断することはできないということだろう。
一人の人間には、当然光もあれば、闇もある。
人間は複雑な生物であり、その中で特に複雑なのがニクソンといえる。
六本木ソルジャーさん [映画館(字幕)] 7点(2009-05-17 22:10:33)
六本木ソルジャー さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2011-05-14ブルーバレンタイン8レビュー6.87点
2011-05-09アンノウン(2011)6レビュー5.77点
2011-05-03塔の上のラプンツェル7レビュー7.50点
2011-05-03SOMEWHERE7レビュー6.70点
2011-05-03ブンミおじさんの森4レビュー5.06点
2011-04-23デュエリスト/決闘者8レビュー6.83点
2011-04-23戦場にかける橋6レビュー7.20点
2011-04-23勇気ある追跡6レビュー6.08点
2011-04-23エンジェル ウォーズ6レビュー5.78点
2011-04-23イリュージョニスト(2010)7レビュー6.92点
フロスト×ニクソンのレビュー一覧を見る


© 1997 JTNEWS