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《ネタバレ》 イーストウッド監督作品を観ていると、たまに何が言いたいのかよく感じ取れないことがある。「チェンジリング」「グラン・トリノ」といった分かりやすい作品が続いていたので、もはや問題はないと思っていたが、今回は正直言ってよく感じ取れなかった。悪い作品ではないと思うが、良い作品とも思えない。再見すると徐々に彼が言いたい事が伝わってくるので、本作も何度か観れば分かるようになるとは思うが、全体的にぼんやりとしすぎたというか、重みに欠けたような印象。イーストウッドは、派手な演出を好まないだろうし、ドラマティックな展開を盛り上げることもないだろう。これが彼の持ち味だと思うので、感じ取れる人が分かればよいかもしれない。
①事故死した双子の兄を忘れられない弟、②死者の声を聞くことができる孤独な労働者、③臨死体験をしたことが忘れられないニュースキャスターという三者が本作のメインキャストとなっている。普通の映画ならば、きちんと“死”に向き合い、前向きに生きようとすることを決意する①の姿勢が描かれると思われる。もちろん、本作もそのようなものが描かれているが、あまり心に響いてこなかった。子役が感情を爆発させるわけではなく、子役が無口過ぎたか。彼が苦しみや悲しみを吐露し、兄ときちんとお別れすれば、単純に泣ける映画になっただろうが、イーストウッドはもちろんそのようなことはしなかった。 死者と会話をすることができるが、現実社会では上手く生きることができない労働者がようやく分かり合えるパートナーを見つけることができるということも本作の大事なポイントとなっているが、②と③の出会いが唐突すぎるような印象を受ける。もしディケンズが好きでなかったら、もしあの朗読者のことを好きでなかったら、もし少年を助けなかったら、もし手紙を書かなかったら、という運命の糸のようなものが絡まっている面白さはあるものの、この辺りもイーストウッドらしく淡々とした仕上りとなっている彼らの出会いにより、何かキセキのようなことが起きるというドラマティックな展開ではない気がする。もっとも各キャラクターが抱える悩みというものが、現在の自分とはかけ離れているので、上手く感じ取ることができないのだろう。また、自分が精神的に若すぎて、イーストウッド作品を理解できるレベルに達していないので、もうちょっと後にもう一回観た方がいいのかもしれない。 【六本木ソルジャー】さん [映画館(字幕)] 6点(2011-02-21 23:58:13)
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