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誰かが「この映画の演出は良いよ」と言えば確かに良いと思うかもしれないが、誰も何も言わないで全くの先入観ない状態で見れば、たぶん面白くない映画と感じるだろう。
しかし様々なストーリーをごちゃまぜにしつつも、観客にあまり混乱を与えずに一つにまとめあげた点は確かに評価は出来る。 この映画に何かが足りないと感じるのは「感情」じゃないかと思う。 恐らく大抵の人が麻薬に対して「怒り」を持っていると思われるが、この映画には「怒り」が静かすぎて伝わってこないのである。 その見つめる眼が静かで冷静すぎるのではないか、もう少し感情的になっても良かった気がする。 麻薬戦争の巻きぞいになりチードル、デルトロは相棒を失い、ダグラスは娘を失いかけているのだから。 確かにあの感情は人を失った哀しさというより虚しさなのかもしれない。それがこの映画の狙いなのかもしれないが。 この麻薬戦争に終わりはないのかもしれない。そして勝者も敗者もいない。 解決する方法はあるのか、ないのかよく分からないが、ダグラス家族は娘の自主性に任せるよりも、家族が一つにまとまりこの問題に向き合うことで、デルトロは社会全体で野球や公園といった安全に明るく遊べる空間を創ることで、この問題に立ち向かおうとしていた。 高校生も言っていたが、「毎日誰かがやって来てクスリがあるか?」と言われ続ければ誰もが売人になろうとする。そういう社会や黒人に対する接し方に問題があるとも提言していたような気がする。 麻薬という社会問題が身近でない分、自分の捉え方が甘いとは思うがなんとも評価が難しい映画だ。 【六本木ソルジャー】さん 6点(2005-01-03 02:20:49)(良:2票)
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