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《ネタバレ》 映画創りとしては、技術面において甘い部分がある上に、ストーリーもかなりメチャクチャのようにも見える。しかし、言わんとしていることが熱意をもって伝わる、観た人に対して多くの影響を与えることができる「象徴的」な作品であることは間違いない。そういう意味において、高得点を与えたいと思わせる作品だ。
「自由」とは何か、アメリカは果たして本当に「自由」な国なのかという叫びと、人々の「自由」に対する羨望と嫉妬が痛々しいまでに伝わってくる。 ニコルソンが、マリファナ(本物らしい)をやりながら、宇宙人の話をしていたと思うが、まさにワイアットとビリーの二人は、周囲の人々からみれば宇宙人なんだろう。 誰しも、その概念を知っているものの、誰もその存在を認めようとしない。認めてしまえば、既存の体制や自らの価値観に混乱が生じ、パニックになってしまうから。この宇宙人についての会話が「自由」とリンクする。人々は自分が「自由である」と感じているから、本当に「自由」な人々をみると、自分が「自由」ではないことが分かってしまう。その恐怖に怯え、自分たちが「自由である」という価値観を正当化するために、その「自由」な存在を否定しようとするのではないか。 したがって、そんな理不尽な嫉妬のおかげで「自由」であるはずのワイアットとビリーも「自由」ではない。金はもっていても、モーテルに泊まることも、レストランで食事を取ることも、パレードに参加する自由もない。最後には、道路をバイクで走る自由さえも奪われてしまった。もはや、アメリカは偽りの「自由」を維持するあまり、本来の「自由」を殺してしまったのだろう。そして、金、しがらみ、常識、人間関係に束縛される現代の人々も、「偽りの自由」しか知らない。我々はもはや真の意味において、「自由」に生きることはできない。そういう意味に おいて、もはや本当の「自由」は死んだのではないか。 「自由」に対するこの映画での答えが、閉鎖的ながらもコミューンか、人里離れて家族でひっそりと暮らすことなのかもしれない。人里離れて暮らすことは大地に根を張った生き方である。コミューンは大地に根を張った生き方ではなく、砂地に種を蒔くようなものかもしれないが、その種はいつか育つかもしれないという期待を込めているのではないか。 【六本木ソルジャー】さん [DVD(字幕)] 8点(2004-02-22 02:39:16)
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