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《ネタバレ》 リンチの「マルホランドドライブ」をブライアンデパルマ風にアレンジしたという印象。
「現実」と「夢(妄想)」が入り混じり、「現実」の登場人物が「夢」において、別の役割を持つ登場人物として描かれる点は共通なものだろう。しかし、その評価は全く異なり、一方は「傑作だ。素晴らしい。」と賞賛され、もう一方は、「くだらねぇ、今どき夢オチかよ。ふざけんな。」と冷笑される。 この違いはなんであるかを考えると、本作においては「現実」と「夢」のリンクが上手く機能していないからなのではないか。「夢」と「現実」を描くことによる相乗効果が発揮されていないのである。本作における「夢世界」の描き方が、中途半端な印象を受けて、「夢世界」を描いたことに対する「意味」を十二分に付加することができていないように思える。 「夢世界(将来の自分)」のように、仲間を裏切り、夫を裏切り、裏切りを続けて「魔性の女」をさらにエスカレートさせていったら、未来においては自己の破滅(死)が待ち構えている。 しかし、リリーの運命を変え、自分の生き方を変えることによって、小さな出来事が巡り巡って、幸福な運命へと転化することになるということを本来描きたかったのだろう。 しかし、「夢世界」を体験したことによる「現実世界」でのロールの変化を観客は十分感じられないのが問題ではないか。単に、リリーを助けたことのみでは、延々と描いた「夢世界」が活きてくるとは思えない。 また、「おもちゃのネックレス」をラストのオチに用いるほど重要な小道具として扱いたいのならば、ラストで唐突に出すよりも、もっと前フリ的に序盤から登場させた方がよかっただろう。 例えば、ロールがリリーのフリをしてアメリカに旅立つ際には、トラックの運転手を邪険に扱い、彼に渡さないということや、悪事を働いた際にどこかで壊してしまうということで、運命の歯車が微妙に狂っていくということをもっと前面に出した方が面白かったのではないか。 それにしても、「溢れる水槽」を筆頭に、大量のグラスに水を注ぐウェイターなど「夢世界」において水のイメージをこれでもかというくらい細かく随所に散りばめられた描き方は、なかなか面白いとは思う。 【六本木ソルジャー】さん [映画館(字幕)] 6点(2004-06-25 15:57:52)
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