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《ネタバレ》 自分の世界でしか生きれない「男」の不器用さとそんな男を愛してしまった「女」の哀しさが見事に描かれた作品。
確かに、男という生き物は同時に二つのモノを手に入れることはできない不器用な生き物なのではないかと改めて思う。 そして、この映画ではきちんと一方のかけがえのない存在である「愛」を捨ててまでも得たいと思う世界が美しすぎるぐらいに描かれていた。なぜ海に潜るのか、特に説明もないし、そんな理屈などいらない。「そこに山があれば登るように」男たちは海に潜り続ける。そんな理屈では言い表せられない姿が非常に美しかった。また、同じ世界に生き、そして同じ世界を見ることが許された二人のライバルの「友情」も美しかった。 マイヨールがエンゾを海へ葬るシーンとマイヨールがイルカと共に海へ消えていくラストも脳裏から離れることができないほど美しすぎた。 さらに個人的に大好きなシーンは、女の一大事である妊娠をマイヨールに告げようとする際に、ちゃんと聞いてもらおうと思いあえてマイヨールのフィールドである海をその舞台に選んだにもかかわらず、しゃべる前にマイヨールがどこかに泳いでいってしまう姿が非常に興味深かった。二人の生き様の違いが見事に表現されていたシーンであり、あの場面でこの映画は傑作だと思った。 また、最後の深夜の海で発射するロープのようなものをジョアンナに渡し、ジョアンナが「私の愛をみてきて」と言うやり取りをみると、マイヨールも不器用ながらジョアンナを愛していたし、海へと送り出したジョアンナの愛の強さもうかがいしれた。 【六本木ソルジャー】さん [DVD(字幕)] 8点(2006-05-06 03:33:19)(良:2票)
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