| 作品情報
レビュー情報
《ネタバレ》 原作を読んだ者としては千織の役割が若干軽くなっただけで物足りなさを覚えてしまった。特に前半での彼女の背景説明が必要最小限という感じなのでラストでの敬輔との関係の変化が与える印象もイマイチ弱い(連弾のシーンは良かったのだが)。せっかく、尾高杏奈が石田ゆり子を真似した演技など、なかなかの好演を見せてくれているだけに余計不満を感じてしまう。そもそも、原作では千織とのエピソードが第1章、真理子とのエピソードが第2章、奇蹟の後日談がエピローグ、といった感じなので真理子メインにした場合、こうなってしまうのは仕方ないのだろうけど、それにしては敬輔の真理子に対する思いがほとんど描出できていない。それから、真理子の乗り移った千織を時々、石田ゆり子が演じるのは演出としては悪くないが、心電図のコードを抜くシーンでの必然性については疑問。また、教会で敬輔が乗り移るシーンも判りずらい。こうした点にはどうも石田ゆり子の出演時間や、尾高杏奈に演じさせることへの抵抗などの大人の事情を感じて興ざめしてしまう。俳優では石田ゆり子、中越典子、西田敏行が好演しているものの、肝心の吉岡秀隆は石田ゆり子と並ぶと妙に存在感が薄いのが痛い。もうちょっと芯の強さを感じさせる演技がほしかった。ちなみにfor chiori from papa&mamaの意味は原作を読んでいないと良く判らないだろう(それとも、敬輔と真理子がパパとママという解釈をさせるつもりだろうか?)。見方によっては2人が結ばれたのはセンターの発起人が千織の両親だったことによる運命の巡りあわせ、みたいな解釈も可能だが、原作未読でそこまで解釈できるかは不明。
【マイカルシネマ】さん [DVD(邦画)] 5点(2006-09-25 20:18:11)
マイカルシネマ さんの 最近のクチコミ・感想
|