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原作は読んでいないものの、「飛ぶ教室」が好きな私にとっては少し物足りなかったです。ケストナーの良さは楽しそうな子どもの情景だけでなく、現実に厳しさにぶつかって悩む場面をバランスよく取り入れていることであって、だからこそラストが意味を持つと思うのです。確かに本作でもアントンの家庭や点子の母親の問題を扱っていますが、少し悲壮感が足りない気がします。何よりも母親の問題一つで物語を引っ張っていくにしてはオチが安直ではないかと。あれではラストの爽快感も半減です。間抜けな泥棒と警察の処遇を見てもわかるようにのんびりした雰囲気ですが、それが逆に本作の限界ではないでしょうか。アントンの盗難事件だってもうちょっと悲壮感を出せたものを中途半端にしか表現できていません。キャラクターにしても点子にアントンほど感情移入しきれないのが痛かったです。原作ではもうちょっとウィットがある不思議な少女だった、って聞いてやっとその理由が分かった気がします。言ってしまえば、良くも悪くも万人向けのキャラクターになっちゃってるんです。「飛ぶ教室」(03)の方が個人的には好きですね。この映画の母親の改心よりあっちのテオドールの改心の方が見ていて心地よいです。それにしてもドイツ映画はどうしてこうも平和的なんでしょう。仕事中の警察があんなことをするもんなんでしょうか。
【マイカルシネマ】さん [映画館(吹替)] 6点(2005-05-23 22:45:31)
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