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《ネタバレ》 アントワーヌの姿に自分を置き換えて見ることができました。この映画は反抗期を迎えた少年とその少年の行動を理解しきれない大人たちの姿をどことなく曖昧なリアリティをもたせて描いた作品だと思います。題名とあらすじからもうちょっと極端な話かと思えば、実際にはドキュメンタリーとしても見られる作風でした。主人公のアントワーヌは中高生の不良少年の典型と比べてもそれほど悪い少年ではありません。家に帰れば、食事の準備もし、宿題もやろうとはします。友人と学校をサボった後も、「次の日は学校に行く」と言うほどの真面目な面も残っています。ただ、周りの大人が彼を悪い見方でしか捉えないだけなのです。学校の先生は彼がイタズラをしてもただ体罰を与えるだけです。アントワーヌが完全にすくいようのない子供でなかったのと同様に、周囲の大人も父親など悪い人ばかりではないのですが、彼を理解しようとする一方で分かり合おうとする時間が取れないのです。そんな彼を理解するのはやはりルネや感化院の子どもたちだけでした。彼はそんな世界から何とか抜け出そうと何度も家出を試み、最後に成功したとき彼は憧れの海辺を前にわずかな希望を得る、と言う見方ができると思います。母親の中盤での豹変振りは理解に苦しむところでしたが、感化院での様子を見て彼女はやさしく接していれば問題は起こらないだろうという安直な考えを持っていたのだろうと思いました。それと見ている最中に当時のフランスの色々な事がわかりました。それにしても感化院まで少年に体罰を与えるなんて・・・ 再犯に走る少年はどれくらいいたのでしょうか?
【マイカルシネマ】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2004-11-10 18:32:23)(良:2票)
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