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《ネタバレ》 主人公のサチオはなかなかのダメ男で、基本はそのダメっぷりを軽く苦笑しながら観る感じなのに、終わってみたら久々に心の奥にズドンと来ました。自分は子どももいるし浮気もしてないけど、なんだか主人公の境遇というか心情には妙にシンクロしてしまう部分があり、笑いながら背筋が寒いというか、ブラックだけどじんわり染みわたるというか、まさに泣き笑って怖がるという、最高の映画体験でした。今回はモチーフ的には是枝裕和監督の作品に近くて、『そして父になる』あたりとは共通部分も多いし、子役が登場するシーンはまるで是枝作品のよう(とくに妹ちゃんは、いかにも是枝映画に出てきそうな感じでした)。個人的には、主人公とお兄ちゃんのちょっとした言葉やしぐさは、本当に自分のなかの「何か」を見ているようでいたたまれない気持ちになるし、2人の「交流」に安易な救いを見出さない突き放した感じも、西川さんらしくていい。ただ、唯一残念だったのは、終わり方かなあ。『ゆれる』のスパっとした切れ味を知っている身としては、終幕が少しダラダラしてしまったのは残念。あの二度目の散髪シーンで終わってもよかったかな。まあ、最後の受賞パーティのシーンのおかげで、いろんな本編中の伏線も回収した上に大宮家のその後をちゃんと見ることができて「安心」して映画を終われたというのはあるし、あそこがなかったら確実に個人的トラウマ映画の仲間入りだったけど(笑)。
【ころりさん】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2018-02-04 14:17:56)
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