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《ネタバレ》 つい先日亡くなったアメリカの最高裁判事ルース・ベイダー・ギンズバーグ(RBG)の半生を描いた伝記映画。ただ、日本版ポスターにはRBGの名前すら出ておらず、残念すぎる邦題のおかげでそもそもRBGの伝記だと知らないままスルーしている方も多いと思う。冒頭、男子学生の群れのなかに1人立つ若きRGBの姿、その後の彼女の歩みを象徴する、すばらしい導入で期待値も上がったのだけれど、その後の映画の展開はとても平板な伝記法廷ものに。ところどころよいシーンもあるのですが、フェリシティ・ジョーンズがその後のカリスマの若き日々にうまくはまらない。個人的に好きな法廷ものなので退屈はしませんでしたが、彼女の最後の弁論が、どのように判事たちの考えを正し、全員一致の勝利を勝ち取るような論理を持っていたのかがうまく伝わらない。彼女と度々衝突するACLUのメルとの関係も結局は整理不足で、チームのケミストリーというか相乗効果みたいなものを感じることもできず、カタルシス不足。この作品で描かれるのは男女平等をめぐる「世紀の判決」だったわけで、もっとうまくドラマにできたはずなのに・・・というのが正直な感想でした。あと、本作にとって気の毒だったのは、少し前に公開されたドキュメンタリー映画『RBG:最強の85歳』に登場するRBG本人と夫のマーティンさんが素晴らし過ぎたこと。それと比べると本作の夫妻の姿はやっぱり物足りなかった。RBG本人はもちろん、夫のマーティンさんも、戦前生まれとは思えない柔らかさとユーモアと知性を持った好人物でした。結局は、「事実にもとづいた物語」よりも「事実」のほうが面白い、ということを実感してしまいました。ただ、本作の「創作」らしい娘との関係、とくに裁判を決意するエピソードはよかったです。この映画でRBGを知った方にはぜひドキュメンタリーのほうも見て欲しいです。
【ころりさん】さん [ブルーレイ(字幕)] 5点(2020-10-06 14:21:31)
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